義姉犯す
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由紀 かほる
About this listen
<内容紹介>
「恋愛」小説家、由紀かほるが織りなす、しなやかで、かつ力強い描写で綴る、めくるめく官能の世界…
若杉伸也は義姉の綾子に恋焦がれていた。
綾子が兄の信雄の妻として若杉家にやって来たのは三年前のことだ。将来を嘱望された医師の妻として、家柄、容姿、性格、気品、どれをとっても申し分ない女性であった。
伸也は兄に対してコンプレックスを抱いていた。同じ医師の父を持ちながら、医大を出て医師になった兄にひきかえ、自分は二流の大学に金で入った上に、六年経っても卒業できずにいる。だが、自分には、一旦失ったら二度と手に入れられないこの若い肉体がある……自分こそが綾子に相応しいと、伸也は疑わなかった。
兄の信雄が海外出張の間、伊豆の邸にいる綾子のことを頼んだ時、伸也は久しく会っていなかった義姉の姿を思い浮かべて、何かが起こる期待感を持ったのだった。
一週間は何も起こらないどころか、指一本触れることさえなかった。
しかし、綾子を邸内のプールへ泳ぎに誘ったその夜、伸也は遂に衝動的に唇を奪ってしまう。拒絶された伸也は台風の接近する中、東京へ帰ろうとするが、この夜、思わぬ侵入者が邸に訪れて……
<由紀かほる(ゆき・かおる)>
東京都出身の小説家。学生時代より作品を投稿し、1984年には「穢された教壇」で初の単行本を出版。
女性ならではの細やかな心理描写や、深く切り込むような文体に定評がある。
初期のペンネームは「由紀薫」「由紀かおる」と表記されたものもある。代表作には「鎖のエンブレム」「黒い牝豹」「聖奴の十戒」などがある。
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©Kaoru Yuki 2019