ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第八回 朝廷を追われて」
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Narrateur(s):
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宇野 直人
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Auteur(s):
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宇野 直人
À propos de cet audio
<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第八回 朝廷を追われて〉
玄宗皇帝の朝廷に仕えて二年、李白は宮廷生活のわずらわしさや、周囲の嫉妬や反感に悩み始めます。これは彼の、宮廷人としてはあまりに自由な言動が周囲に違和感を感じさせたことにも一因があったかも知れません、五言古詩「春日 酔起して志を言ふ」は、李白には珍しく自暴自棄の心を強く見せています。
そして天宝三年(744)、44歳の李白はついに朝廷を追われます。追放直後の五言絶句「初めて金門を出で 王侍御を尋ねて遇はず 壁上の鸚鵡を詠ず」には、こと志に反した彼の寂しい心境がよく出ています。
その後、李白は長江に沿って東に向かい、洛陽付近にて、当時33歳の杜甫と出会いました。両人は意気投合し、以後足かけ二年ほど行動を共にします。五言律詩「魯郡の東 石門にて杜二甫を送る」は、杜甫と別れて東魯に赴く際の、惜別の名作です。
<収録作品>
春日酔起言志
初出金門尋王侍御不遇詠壁上鸚鵡
魯郡東石門送杜二甫
<講師:宇野直人(うの・なおと)>
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。