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何者

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何者

Auteur(s): 江戸川 乱歩
Narrateur(s): 豊岡 総仁
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ある夏、「私」は友人の甲田伸太郎と共に、結城弘一の家に半月ばかり逗留したことがある。

これはその間に起こった、奇妙な事件の話である。

弘一君は陸軍少将の息子で、鎌倉に父の立派な邸があった。

その年大学を出たばかりの同窓である私たち三人は、

最後の自由な夏休みをその邸で充分遊び暮そうというのだ。

しかしある日、少将邸に時ならぬ銃声が響いた。

少将の誕生祝の宴席があったその晩、弘一君が撃たれたのだ。

急いで現場に駆けつけたが、窓の外には何者の影もない。

弘一君の足首はグチャグチャに撃ち抜かれ、仲々の重症であった。

取調の結果、盗賊の仕業であることが明かになったが、

奇妙なことには、盗賊は現金や金庫には全く手を付けず、

金時計や煙草入れ等の金製品ばかりを悉く奪い去っていたのである。

現場には足跡が残されていたが、それは井戸を往復するように消えていた。

犯人は井戸から現われ、又井戸に消えたとでもいうのだろうか……。

弘一君は探偵好きで、病床の身でありながら事件の真相を暴こうとした。

怪しい人物は幾人もいる。

第一発見者の甲田君。

何かを花壇に隠していた常爺や。

少将の碁友達で、事件後奇行を繰り返す赤井さん。

黄金収集癖のある、地主の息子……。

果たして、この病床の名探偵を傷つけたのは何者であるか。

そして犯人の真意とは――?

©2022 PanRolling
Historique Littérature mondiale
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