(CV:桑木栄美里) 【ストーリー】 ■SE〜終業のチャイム/教室のガヤ 「えっ、私が文化祭の実行委員に・・・・・・!? そんな、む、む、む、無理です・・・ぜったい・・・」(※泣きそうに・・・) 秋風が吹く放課後。 いきなり、文化祭実行委員長からおそろしい宣告をされた。 これだから”陽キャ”は・・・。 きっと私が断れないことを見越してフッてきたんだ。 早く、早く断らなきゃ。 押し切られちゃう前に・・・ 『じゃあ、頼んだよ〜、よろしくね!』 「あ、あ、あの、あの・・・む・・り・・・」 『委員会、明日の放課後だから、遅れないように!』 うう〜。こいつ〜 ”陰キャ”だと思って、”陽キャビーム”全開にして振り逃げしやがった。 くそう・・・ 私って、文化祭実行委員長のアイツにいつも標的にされてるんだよね。 でも、アイツって、なんか、ちょっとだけ、気になるんだなあ・・・ あ〜、でもやっぱり無理。 文化祭の日は、学校サボろうと思ってたのに。 委員会なんて、出たくないよう〜 ■SE〜家庭内のガヤ(お母さんの料理の音など) 『ちょっと、ご飯できてるわよ。食べないの?』 「いらない。食べたくない・・・」 『どうしたの?どっか悪いの?』 「違うけど・・・食欲ない」 『食べないとホントに病気になるわよ』 「病気になりたい・・・」 『バカなこと言わないで』 「あ〜だめだ、委員会のこと考えると吐きそうになる」(※ココ独り言っぽく) 『委員会って?』 「わーやめて。考えないようにしてたのに・・・」 『なんか、言ってること支離滅裂よ』 「支離滅裂でいいもん」 『困ったわね』 「ねえママ。私、明日学校休むわ」 『ええ?』 「ご飯もいらないから。もう寝よっと」 『ちょっと』 こういうとき、自分の母親が精神科医っていうのは、いいのか悪いのか・・・ 今はベッドの中だけが、私の安息空間。 このまま目が覚めなきゃいいのに・・・ ■SE〜朝のノイズ(小鳥のさえずりなど)〜カウンセリングルームの小さなガヤ あれ?ここどこだっけ? え〜っと・・・ あ、ママの病院! カウンセリングルームだ・・・ 『そろそろあなたの引きこもり、なんとかしなきゃって思ってたから』 「なんとかって?」 『退行催眠療法、ためしてみるわね』 「退行催眠療法?」 『時間を遡って、トラウマの原因、さがしてみましょ』 「トラウマなんてないから」 『さ、目をつむって。 リラックス・・・』 目をつむったら寝ちゃいそう・・・ 『あなたの潜在意識に命じます。 過去をずうっと遡って、人と話せなくなった頃の記憶に戻りなさい』 ・・・話せなくなったころ・・・ 3歳・・・2歳・・・もっと前・・・生まれる前・・・ 一瞬目の前が真っ暗になり、再び光に包まれる・・・ ここは・・・? 『やあ、やっと会えたね。エミリア』 「だれ?私、エミリアじゃなくてエミリだけど」 『ああそうか・・・。ボクはエミリオ』 「エミリオ?」 『ボクのこと、覚えてる?』 「わかんない」 『ずうっと君の中にいたんだよ』 「え?」 『あ、ほら。ママが呼んでる』 「なになに?待って待って。まだ話終わってない」 『大丈夫、また会えるから』 そのとき、私は血圧が低下して、ちょっとした騒ぎになっていたらしい。 気がつくと、ママが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。 『よかった、一時はどうなるかと思ったわ・・』 ■SE〜学校のチャイムと放課後のガヤ 『お、ちゃんと委員会にきたじゃん、えらいぞ。 今日はお前が発表する日だからな』 え?はっ・・・ぴょ・・・う・・・? だめだ、目の前が真っ暗になる。 私は思わず、カバンにつけたさるぼぼのキーホルダーを握りしめた。 その瞬間・・・意識が遠のいていった・・・ ■SE〜玄関の扉を開く音 「あれ?私、なんでここにいるの?」 『ちょっと、やめてよ。ヘンなこと言わないで』 「だって放課後の委員会で・・・」 『そうそう。そういえば、あなたが帰る前に委員長さんから電話あったわよ。 お礼言ってた』 「え?なんのこと?」 『あなたの提案した企画、すごくよかったって』 「え?企画?提案?なんのこと?」 『もう〜、いいから早くあがってご...