福岡県久留米市出身の、漫画家のレジェンドがいます。
松本零士(まつもと・れいじ)。
『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙海賊キャプテンハーロック』など、松本が描いた多くの名作漫画は、長きにわたり、アニメ化、映画化され、今もなお、世界中のファンに愛されています。
彼の作品は、宇宙を舞台にしたSFが多く、壮大なファンタジーという印象が強いですが、実は繊細で微妙な人間の感情、裏切りや嫉妬、怖れや後悔などが、丁寧に描かれていることでも有名です。
キャラクターづくりには、彼自身が幼いころから体験したこと、見たこと、感じたことが、色濃く反映されています。
松本は、戦後上京するまでの多感な幼少期、青年期を、小倉で過ごしました。
北九州市小倉北区にある、『北九州市漫画ミュージアム』は、まず等身大のハーロック像が出迎えてくれます。
このミュージアムは、北九州にゆかりのある漫画家の作品や功績が展示されていますが、『北九州発・銀河行き~松本零士を生んだ街~』のコーナーは必見。
松本零士のおいたちや創作の源に辿り着くことができます。
彼が小倉から上京したときに乗った、蒸気機関車。
そのときの、汽笛の音、煙の匂い、果てしない旅立ちへの恍惚と不安、それらの体験は全て、『銀河鉄道999』に投影されているのです。
角川書店刊、『未来創造―夢の発想法』という著書で、松本は、こんなふうに書いています。
「創作のためのヒントをどこから得るか?
僕はそのすべてを『体験』から得ている。
生まれてからいままでにこの目で直に見たもの、この耳で聞いたこと、行った場所、やったこと、出会った人々…、僕自身の体験が創作のすべての源泉になっていると言っていいだろう」
漫画界にあらたな革命を起こした賢人、松本零士が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?