• ボイスドラマ「常世の浦島台」

  • Feb 2 2025
  • Length: 14 mins
  • Podcast

ボイスドラマ「常世の浦島台」

  • Summary

  • (CV:桑木栄美里) 【ストーリー】 [シーン1:プロローグ/秋の高山祭】 ■SE〜秋の高山祭の音 「そーれ!」 絢爛豪華な屋台が一堂に引き揃えられる秋の高山祭。 櫻山八幡宮の境内では今ごろ、布袋台が、見事なからくりを奉納していることだろう。 このあとは、大きな見せ場、屋台を転回させる『曳き回し』だ。 私と一緒に屋台組を復活させてがんばってきた、同級生の彼も 曳子(ひきこ)に徹して掛け声をあげる。 実は私たちの屋台、浦島台にもからくりの仕掛けがある。 名古屋のからくり人形師に頼み込み、10年越しで制作してもらった。 『常世の浦島子』という、私たちが考えたからくりだ。 ■SE〜からくりの音 海で大亀を釣った浦島子。 その後亀は美女に姿を変え、2人で常世の国へ行く・・・ という万葉集をルーツにした物語である。 二重三重にうねる波。 船から釣り糸を垂らす浦島子。 やがて釣り上げた亀が美女に変わるクライマックス。 ラストは常世の国から戻った浦島子が、 玉手箱により、300年の時が流れていたことを知る。 時の流れを見せるのは、煙ではなく、走馬灯を使って 浦島姫との蜜月を表現した。 そのあと浦島子の顔があっという間に老人に変身するシーンは最大の見せ場だ。 ■SE〜観客の大歓声 私は、この10年を思って、目頭が熱くなった。 思えば、初めて『浦島台』という名前に出会ったのは10年前。 私がまだ15歳。 高校1年生のときだった。 [シーン2:失われた屋台との出会い/高校1年】  高山屋台の保存会の人が、私たちの学校へやってきて、 いろいろな屋台のエピソードを聞かせてくれた。 その中で、私が興味をそそられたのは、『失われた屋台』。 火事などで消失してしまった幻の屋台があると聞いて驚いた。 『失われた屋台』はひとつだけではない。 春の高山祭、秋の高山祭ともに、その数8つ。 なかでも『浦島台』には特に心惹かれた。 『浦島台は、文化十年(1813年)の記録が残っている歴史ある屋台。 でも、明治8年の高山大火で焼けて、そのあとはもう建造されていないんだよ』 その頃、私は読み聞かせのボランティアもやっていて民話や伝承を読み漁っていた。 おとぎ話ではなく、日本書紀や万葉集の『浦島子』。 その不思議な話と『浦島台』という名前の符牒が私を惹きつけた。 同じボランティア仲間の同級生たちも同じ理由で、興味をもったらしい。 その中のひとり、同じクラスの彼は、なにを隠そう私の初恋の相手だったけど、 当時から彼の横には彼女がいた。15歳なのに。 それでも私たちの思いはひとつになる。 この日からボランティアの現場で何度も話し合った。 ”浦島太郎伝説を題材にしたカラクリ人形も仕込まれてあったんだって” ”屋根は切妻風で、三輪の屋台というらしい” ”祭礼の時には提灯を掲げて、五色の旗を掲げていたんだ” ”台紋のデザインは波もよう” ”浦島台”をもう一度高山祭の舞台へ” 私たちは時間を忘れて、浦島台復活の計画を語り合った。 もちろん、彼の隣には彼女もいたけれど。 ”まずは、屋台組を復活させなきゃ” そもそも、屋台組というのは、お金を出し合って屋台を維持管理していく仕組み。 高校生の私たちに、そんな余裕があるはずもない。 ”クラウドファンディングっていうのは?” ”あ・・・” 誰が言い出したのかは忘れちゃったけど、それっていいアイディアだったと思う。 私たち3人は、ネットで一生懸命調べて、高校生でも参加しやすいサイトを探した。 長期スパンで継続できて、文化的な題材に強いクラウドファンディング。 授業で習ったパワーポイントで必死に事業計画書を作り、 選び抜いたクラウドファンディングのサイトへアップする。 ”秋の高山祭に失われた屋台を復活させたい!” ”オリジナルのからくり屋台を作りたい!” ”屋台組を作り屋台をずうっと守っていきたい!” ”みなさん、どうか、助けてください!” 私たちのアーカイブには、高校生らしい文字が踊る。 熱意は、ネットを通じて、さまざまな人たちへ伝わっていった。 [シーン3:クラウドファンディング/大学生】  目標額は1億! 高校を卒業したあとも、大学...
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