Hits Me Up!ボイスドラマ集

Written by: Ks(ケイ)、湯浅一敏、くわきえみりのHits Me Up!
  • Summary

  • 声優・桑木栄美里がお送りする飛騨高山を舞台にしたボイスドラマ 珠玉のドラマをお楽しみください
    Ks(ケイ)、湯浅一敏、くわきえみりのHits Me Up!
    Show more Show less
Episodes
  • ボイスドラマ「常世の浦島台」
    Feb 2 2025
    (CV:桑木栄美里) 【ストーリー】 [シーン1:プロローグ/秋の高山祭】 ■SE〜秋の高山祭の音 「そーれ!」 絢爛豪華な屋台が一堂に引き揃えられる秋の高山祭。 櫻山八幡宮の境内では今ごろ、布袋台が、見事なからくりを奉納していることだろう。 このあとは、大きな見せ場、屋台を転回させる『曳き回し』だ。 私と一緒に屋台組を復活させてがんばってきた、同級生の彼も 曳子(ひきこ)に徹して掛け声をあげる。 実は私たちの屋台、浦島台にもからくりの仕掛けがある。 名古屋のからくり人形師に頼み込み、10年越しで制作してもらった。 『常世の浦島子』という、私たちが考えたからくりだ。 ■SE〜からくりの音 海で大亀を釣った浦島子。 その後亀は美女に姿を変え、2人で常世の国へ行く・・・ という万葉集をルーツにした物語である。 二重三重にうねる波。 船から釣り糸を垂らす浦島子。 やがて釣り上げた亀が美女に変わるクライマックス。 ラストは常世の国から戻った浦島子が、 玉手箱により、300年の時が流れていたことを知る。 時の流れを見せるのは、煙ではなく、走馬灯を使って 浦島姫との蜜月を表現した。 そのあと浦島子の顔があっという間に老人に変身するシーンは最大の見せ場だ。 ■SE〜観客の大歓声 私は、この10年を思って、目頭が熱くなった。 思えば、初めて『浦島台』という名前に出会ったのは10年前。 私がまだ15歳。 高校1年生のときだった。 [シーン2:失われた屋台との出会い/高校1年】  高山屋台の保存会の人が、私たちの学校へやってきて、 いろいろな屋台のエピソードを聞かせてくれた。 その中で、私が興味をそそられたのは、『失われた屋台』。 火事などで消失してしまった幻の屋台があると聞いて驚いた。 『失われた屋台』はひとつだけではない。 春の高山祭、秋の高山祭ともに、その数8つ。 なかでも『浦島台』には特に心惹かれた。 『浦島台は、文化十年(1813年)の記録が残っている歴史ある屋台。 でも、明治8年の高山大火で焼けて、そのあとはもう建造されていないんだよ』 その頃、私は読み聞かせのボランティアもやっていて民話や伝承を読み漁っていた。 おとぎ話ではなく、日本書紀や万葉集の『浦島子』。 その不思議な話と『浦島台』という名前の符牒が私を惹きつけた。 同じボランティア仲間の同級生たちも同じ理由で、興味をもったらしい。 その中のひとり、同じクラスの彼は、なにを隠そう私の初恋の相手だったけど、 当時から彼の横には彼女がいた。15歳なのに。 それでも私たちの思いはひとつになる。 この日からボランティアの現場で何度も話し合った。 ”浦島太郎伝説を題材にしたカラクリ人形も仕込まれてあったんだって” ”屋根は切妻風で、三輪の屋台というらしい” ”祭礼の時には提灯を掲げて、五色の旗を掲げていたんだ” ”台紋のデザインは波もよう” ”浦島台”をもう一度高山祭の舞台へ” 私たちは時間を忘れて、浦島台復活の計画を語り合った。 もちろん、彼の隣には彼女もいたけれど。 ”まずは、屋台組を復活させなきゃ” そもそも、屋台組というのは、お金を出し合って屋台を維持管理していく仕組み。 高校生の私たちに、そんな余裕があるはずもない。 ”クラウドファンディングっていうのは?” ”あ・・・” 誰が言い出したのかは忘れちゃったけど、それっていいアイディアだったと思う。 私たち3人は、ネットで一生懸命調べて、高校生でも参加しやすいサイトを探した。 長期スパンで継続できて、文化的な題材に強いクラウドファンディング。 授業で習ったパワーポイントで必死に事業計画書を作り、 選び抜いたクラウドファンディングのサイトへアップする。 ”秋の高山祭に失われた屋台を復活させたい!” ”オリジナルのからくり屋台を作りたい!” ”屋台組を作り屋台をずうっと守っていきたい!” ”みなさん、どうか、助けてください!” 私たちのアーカイブには、高校生らしい文字が踊る。 熱意は、ネットを通じて、さまざまな人たちへ伝わっていった。 [シーン3:クラウドファンディング/大学生】  目標額は1億! 高校を卒業したあとも、大学...
    Show more Show less
    14 mins
  • ボイスドラマ「氷の温もり」
    Feb 2 2025
    【プロット】 主人公(栄美里)は江戸時代から続く元武家の旧家の一人娘として育つが、父亡きあと、母は落ちぶれた武家の屋敷へ後添えとして嫁いでいく。義理の父や義姉たちは栄美里の器量を妬み、奉公に出される。奉公先は、悪徳高利貸しとして名高い一人暮らしの男性。 怖がりつつも炊事洗濯と家事をこなす栄美里は、男性の表と裏の顔を知る。 表面的には冷たい高利貸しとして金持ちの商家や元武家屋敷から金を貸し、取り立てる。 その一方、いつも勝手口から男性を訪ねてくる粗末な身なりをした子どもたちやお年寄りは涙を流しながら帰っていくのだった。 男性のその裏の顔とは・・・(CV:桑木栄美里) 【ストーリー】 <シーン1/旧武家屋敷にて> ■SE〜古い町並のガヤ/箒で掃除をする音/古い木戸が開く音 「あ・・・、おはようございます」 私は、小さく、唇だけの笑顔で家族にあいさつをする。 家族? 誰も私を見ても声すらかけない。 いや、見てすらいない。 存在さえ否定されていて、”家族”と呼べるのだろうか。 ここは、旧高山城の城下町。 かつて幕府直轄の天領だったのが嘘のようだ。 街道沿いには、飛騨の木工技術を競うように、瀟洒な町屋が並んでいる。 その町家より一段高いところにあるのが、かつての武家屋敷だ。 私の母は、実父亡き後、武家屋敷のひとつに、後添えとして入った。 連れ子の私と一緒に。 義理の父は世間体を気にする人だったので、私は母の使用人として屋敷にあがった。 そこまでして義父(ちち)が母に焦がれたのは、 その美貌と亡くなった連れ合い=私の実父の財産だ。 当時若干8歳だった私には、なんの迷いもなく、 優しい母とまた一緒にいられることが嬉しかった。 時は移り、明治も終わり頃になると、少女の私にもいろいろなことが見えてきた。 この武家屋敷にはいまや昔日の勢いはなく自転車操業であること。 母の持参金を、義父とその娘たちで使い果たしてしまったこと。 そして、2人いる義理の姉は、私を使用人としか見ていないこと。 そう、私が称された”使用人”というのは建前だけではなかったのだ。 そんななか、突然母が病に倒れた。 働かない義父や、浪費癖のある義姉(あね)たちの分まで、 家事をしながら朝から晩まで働き続けたからだ。 床に伏せる母を看とったのは私ひとり。 やがて看病のかいもなく、母は私を遺して逝ってしまった。 葬儀の最中、義父は私に信じられない言葉を告げた。 ”お前には奉公に出てもらう” 義父の横で、喪服姿の義姉が笑いを噛み殺している。 言葉をよく理解できない私の耳元に、義姉たちのささやきが響く。 ”強欲な高利貸しのお宅ですって” ”無事でいられるかしら” もの言わぬ母の遺影が、憂いを帯びて私を見つめていた。 <シーン2/高利貸・岩佐宅> ■SE〜古い町並のガヤ/下駄の音 「しつれい・・・いたします」 木戸を開けようとしたが、鍵がかかっている。 悪名高い『高利貸し』だと言われたけど、どこにも看板は出ていない。 義父から聞いた『岩佐』という苗字の表札だけが頼り。 思い切ってもう一度木戸に手をかけたとき・・・ ■SE〜古い木戸が開く音 「あ・・・」 木戸を開けて顔をのぞかせたのは・・・ 年の頃なら三十五、六・・・ 長髪で端正な顔つきの男性だった。 「あの・・・今日からご奉公にまいりました・・・栄美里と申します」 彼は、言葉を発せず、目線を家の中に向けて、入るよう命じた。 義父は、しばらくは帰ってこないように、と言って私を送り出している。 奉公人は私だけ。 だから、私はこれから、この人と・・・ 訳もなく無言で涙が溢れた。 ■SE〜食事の準備をする音 炊事、洗濯、庭掃除・・・ ここへきて3月(みつき)の歳月が流れた頃、やっと奉公にも慣れてきた。 家の主人は相変わらず、ほとんど私に対して口をきかない。 いや、私にだけではなく、お金を借りに来るお客さんに対しても 必要最低限の言葉しか話さない。 彼が最初、私に命じたのは、3つ。 ”ひとつ。金を借りにくる連中は玄関横の座敷に通すように” 私が取り次ぐお客さんは、お金持ちの商家や武家屋敷の元お侍...
    Show more Show less
    17 mins
  • ボイスドラマ「白亜紀より愛をこめて」
    Feb 1 2025
    (CV:桑木栄美里) 【ストーリー】 ■シーン1/発掘現場/SE〜発掘の音 「ちょっと、いま何捨てた?」 「見せて」 「もっとよく見ないと。これ、蜂の巣サンゴの化石だよ」 ここは奥飛騨温泉郷(おくひだおんせんごう)の福地(ふくじ)。 私は地元の高校2年生。いわゆる”JK”である。 全国でも珍しい『化石部』の部長をつとめている。 化石の発掘って許可がいるんだけど、 うちの学校は実績もいろいろあるから市から特別に認められてるんだ。 ま、コンプライアンスは大事だから、保護者の健康保険証のコピーとかはいつも持ち歩いてるけどね。 もともとは、サイエンス部化石発掘体験科という名前だったけど、 長ったらしいし、覚えにくいので私が『化石部』に変えた。 知ってる?高山って日本最古の化石が発掘されたところなんだよ。 ここんとこ話せば長いから、おいおい説明していくわ。 ところで、さっきから黙って地層をジロジロ見てるアレ、誰? イケメン? どこがー?興味ないし。 そう思うんならLINE交換すればー。 え?新しい部員?1年生?聞いてないよ。 さっき顧問の先生が紹介したって? ぜんっぜん覚えてないなあ・・・ あ、そっか。私、配信で『NHKスペシャル〜生命(せいめい)』見てたんだ。 ま、いいや。 「ちょっと、あんた。なにやってんの?」 え?植物の化石? どこに? 地層の中にある茶色の点とすじ? 植物の化石から出ている信号だって? なに、この1年生。 自分の世界に入っちゃって。 ”神の手”? なにが? え〜こいつが〜!? なーんか、その名前からして胡散臭いなー。 ワンチャン、T-REXかなんかの発掘でも狙ってるんじゃね? あ〜いやいや、なんも言ってないし。 『あのう、ひとつ聞いてもいいですか?』 「あっ、あー、いいけど」 『ここで見つかった日本最古の化石って』 「なに?コノドント?」 『はい、それって、海洋生物ですよね?』 「そ、カンブリア期の生き物。NHKスペシャルみた?」 『いえ、見たことありません』 「恐竜じゃなくて、こんなジミな生物に興味があるの?」 『っていうか、地層に興味あって』 「チソー?」 『どうしてこここんなに標高高いのに、海の生き物の化石が出るんすかね?』 「そりゃ、昔海だったからに決まってるじゃない」 『それって、恐竜の時代とかよりうーんと前ですよね』 「まあね、私が生まれる前だし」 『・・・』 なんだよ、そこツッコむとこだろ。 やなやつだなー。 『僕、古生代の地層ヲタクなんです』 「なんじゃそれ、ニッチやのう」 『僕の夢はアロマノカリスの完全な化石を発掘して全身骨格標本をつくること』 「まー、夢は大きい方がいいけど、ニッチすぎてつっこめんぞ」 「そもそも9月に入部って。4月からなにやっとったん?」 『モンゴルに化石留学してました』 「化石留学!」 「大型恐竜の発掘隊にでも加わっとったんか」 『大型恐竜の足跡の化石を発掘してました』 言葉をうしなった。 なんか・・・すごい。 だからかー。 なんかたいそうな発掘セット持ってるなーって思ったわ。 ハンマーなんてチタンだし。 1万円以上するんとちゃうか。 あーもう、考えるの、やめたやめた。 人は人。私は私。 夢なら私にもあるんだよ。 いつか地元で新種の恐竜化石を発掘して、自分の名前をつけること。 エミリザウルスとか、エミリドンとか・・・ なんか美味しそうだな。 それに、私には推しの先輩だっているからいいんだ。 大学の研究室に進んだ先輩。 恐竜の謎に迫るんだ、っていつも目をキラキラさせてたなあ。 『あ、その先輩しってます』 「って、えー!? なんだおまえ急に、人の心を読むんか?スタンドか?」 『いえ、先輩、自分でぼそぼそ言ってましたから』 不覚・・・ 「まあいい、でも知ってるって?」 『モンゴルで一緒でした』 「えっ・・・」 聞いてないよー。ずうっと岡山の大学院にいるって思ってた。 『奥さんも一緒でしたけど』 「奥さん・・・」 私のボキャブラリーにない単語が頭をかけめぐる。 「ふうん・・・ま、いいや。さ、無駄話はやめて発掘にもどろ」 ■シーン2/自宅 そのあと、何を発掘してどうやって家に帰ったか覚...
    Show more Show less
    12 mins

What listeners say about Hits Me Up!ボイスドラマ集

Average Customer Ratings

Reviews - Please select the tabs below to change the source of reviews.