クリスマスの思い出は、大人になっても心の中に残り続ける特別なものです。今回の物語は、少女時代の主人公が思い出す“あの年のクリスマス”を描いています。家族で飾るイルミネーション、待ち遠しいプレゼント、そしてサンタさんへの願い──。あの夜、サンタの正体を知ってしまった彼女が手にしたものとは?この物語は服部家具センター「インテリアドリーム」 の公式サイトをはじめ、Spotify、Amazon、Appleなどの各種Podcastプラットフォームでボイスドラマ としても楽しめます。ぜひ、音声とともにこの温かな物語に浸ってください。さあ、クリスマスの魔法が始まります──。登場人物(※設定は毎回変わります)・娘(5歳)・・・毎年家族で祝うクリスマスを2歳上の兄と共に心待ちにしている。設定は25歳になった女性が少女の頃を思い出すといった内容(CV:桑木栄美里)・父(37歳)・・・クリスマスを楽しみにしている子供たちのために毎年いろいろな趣向を凝らす。イルミネーションで飾られた家は近所でも有名だった(CV:日比野正裕)【Story〜「サンタの正体〜クリスマス雑貨/前編」】<2003年12月24日>全員: さん、にい、いち、点灯!(SE〜家族の歓声と拍手)娘: 「わぁ〜! きれい・・・」父: 「さあ、これでクリスマスの準備はパーフェクトだ!」娘: 今から21年前。リビングの小さなツリーに灯りがともった。 毎年この季節を心待ちにしていた少女が目を輝かせる。父: 「今年もサンタさん、来てくれるといいね」娘: 「うん。でも大丈夫かなあ。 ちゃんとうちのこと覚えてくれているかなあ」父: 「心配いらないよ。きっと来てくれるから」娘: 「だけどだけど、夏におうちの屋根修理しちゃったでしょ。 サンタさん、迷っちゃうかもしれない」父: 「だから、お庭と玄関にイルミネーションをともすんだよ」娘: 「じゃあ今年は早めにイルミネーションともして」父: 「わかってる。今から準備するところ」娘: 実は、我が家のイルミネーションは近所でも有名だった。 玄関周りをライトアップするだけでなく、 庭の大きなモミの木や、桜や梅、紫陽花やツツジまで 鮮やかな光に包まれる。 それだけじゃない。 まるで絵を描くように、高い外壁には雪の結晶やスノーマンたちが光り輝き、 父の手作りの仕掛けの中で、トナカイが走っていた。 絡まるツタも星座のように瞬き、父のこだわりで私の魚座が 真ん中で煌めいている。 屋根の下からはつららのような光の粒が降ってきた。 毎年クリスマスシーズンになると、華かやな光に誘われて 見知らぬカップルたちが我が家のイルミネーションの下(もと)に集まってくる。 父も母も、庭に入ってくる男女をとがめることなく、微笑ましく眺めていた。 思えば、いい時代だったんだなあ。父: 「お手伝い、してくれるかい」娘: 「うん!」父: 「えらいぞ。きっとサンタさんも褒めてくれるよ」娘: 喜んで掃き出し窓から庭へ出ようとする私に父が声をかける。父: 「ちょっと待って」娘: 「なぁに?」父: 「お庭のイルミネーションの前にリビングの飾りつけも仕上げないと」娘: 「リビング?」父: 「ああ。さてと・・・ これはなぁんだ?」娘: 「あ!スノーマン!」父: 「そう、スノーマンの形をした灯りだよ これをまず、ツリーの横のキャビネットに飾ってくれる?」娘: 「はぁい」父: 「飾ったら灯りをともして」(SE〜スイッチを入れる音)娘: 「わあ」父: 「優しい灯りできれいだろう」娘: 私の背より少しだけ低い木製のキャビネットの上で、スノーマンの灯りは 部屋を優しく照らした。父: 「次はこれ」娘: 「キャンドルだ」父: 「クリスマスだからね。真っ赤なキャンドルでお祝いしよう」娘: 「やった!」父: 「キャンドルはあと4本あるからね」娘: 「パパ、ママ、お姉ちゃん、お兄ちゃんと私の4人だから?」父: 「そうだね。いいかい、クリスマスまであと4週間あるだろう」娘: 「うん」父: 「これから毎週日曜に1本ずつキャンドルをともすんだよ」娘: 「うん」父: 「1本1本灯すたびに、ワクワクが大きくなっていく」娘: 「うん」父: 「...