• ボイスドラマ/エピローグ
    Jan 28 2025

    いかがでしたでしょうか?

    写真とコラボした20篇のショートストーリー。

    わからない言葉は、このあとの巻末の解説をご覧ください。

    本を読んでくださった皆さんにも、素敵な出会いが訪れますように。

    朗読は、桑木栄美里でした。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「手弱女」
    Jan 28 2025

    遅咲きって、いい意味かしら。


    境内の桜の木に手をあてながら 彼女がつぶやいた。
    花雪洞、花疲れ。

    喧噪の後に開花する遅咲き桜。

    実は、一番好きな花である。
    たおやめ。 なんて、儚い桜の中でも 特に儚く感じちゃう。
    その名前とは裏腹に、 淡い紅色の八重咲きは、 クライマックスを飾るのに ふさわしい華やかさだ。

    だからこそ、手弱女は、 彼女こそが愛でるにふさわしい。

    伝えるべきか、迷うところだが。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「葉桜」
    Jan 28 2025

    一日中葉桜を見ていた。
    正確に言うと、 わずかに残った花びらと 緑が織りなす陰影を、 愛でるでもなく眺めていた。
    飽きないのは、グラデーションのせいね。
    緑とピンクは、それぞれ反対色。

    葉桜が美しいのはそのせいだと言う。
    デザインでもよく使うわ、この配色。
    自然が描く色彩の妙。 過去と未来。 男と女。

    すべては色彩の表現に似ている。

    反対色ほど、相性が良い。

    二人の色彩も、これから ほどよく混じり合っていけばいい。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「残花」
    Jan 28 2025

    名残惜しそうに、残っている桜花。

    それを残花というらしい。

    いじらしく、 それでいて芯の強さを感じるのは 自分だけではないだろう。
    きっとみんな、最後のひとひらには なりたくないんだわ。
    哲学的な話になりそうだ。

    そういえば、有名な哲学者が 花吹雪、という言葉を 世界一美しい言葉だと言っていた。
    うすむらさき 山の端染めた さくら花 緑の芽吹きに せかされて いく
    ほんの一瞬、彼女の陰までが 消え入りそうに、薄くなった気がした。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「桜陰」
    Jan 28 2025

    天気予報は正確だ。

    午前中の雨はすっかり上がり、 桜の枝葉の間から、陽光が差し始めた。
    虹が出たりして。
    自然は二人のために、 そこまでサービス旺盛ではないが、 雲間から差し込む光、 いわゆる”天使のはしご”が 空のカーテンを開いていく。
    神々しいわ。大袈裟じゃなく。
    雲の幕が開くと、 舞台の主役は、やはり、桜の木だった。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「春雷」
    Jan 28 2025

    ピアノジャズと春雷のコラボレーション。

    遅めの朝食は、いきつけのカフェ。

    静かなBGMを、ときおり春雷がかき消す。
    すごいタイミング。
    BGMと雷鳴の、絶妙なタイミング。

    それとも、入店と天候の急変のこと。
    秋なら、稲妻は収穫を告げる 実りの光だったのに。
    春のいかづちは、桜に引導を渡す 審判の響きになる。 川面に崩れる花筏が 脳裏に浮かんで、消えた。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「風流美人」
    Jan 28 2025

    傘をささずに、 昨日まで満開の桜並木を歩く。 傘をさしたら、せっかくの 風流が台無しじゃない。
    視界が狭くなる。 自然の情景に合わない。

    雨の雫が伝わらない。

    傘をささない彼女の理由。

    今日からは僕の理由。

    小糠雨は、いつしか霧雨となり、 二人の行く手を遮っても、 少しだけ早足で歩けばいい。

    二の腕に彼女を感じながら。 (CV:桑木栄美里)

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  • ボイスドラマ「花筵」
    Jan 28 2025

    まるで、桜色の絨毯ね。
    散り落ちた花びらが まるで絨毯のように 地面一面に広がっている。

    昨夜までのにぎわいが嘘のように、 静かな公園の朝。
    桜の香り、雨の匂い、ってわけ。
    彼女の好きなもの。 僕の心にも増えていく。

    桜の香りはとても弱く、 それでいて、とても印象的だ。

    上気してほんのり桜色になった 彼女の頬のように。 (CV:桑木栄美里)

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