市場の風を読む

Written by: Morgan Stanley
  • Summary

  • モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。

    © Morgan Stanley & Co. LLC
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Episodes
  • 不透明な米国株式市場で機会を探る
    Feb 18 2025
    銘柄、ファクター、セクターの選定が引き続きポートフォリオのパフォーマンスを決定するカギであるとの見方を、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン. 今回は、金利が上昇し、業績予想が弱含む中での株式について最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。 このエピソードは2月18日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。12月上旬以降、S&P 500指数は足踏み状態が続いています。昨年夏からのほぼ遮るもののない株価上昇がストップした理由はいくつかありますが、10年国債利回りの上昇が最大の理由だと私は見ています。弊社は12月に、成長と業績が順調に推移すると想定した場合、株式マルチプルにとって最適な水準は4-4.5%であると述べました。4.5%は株式バリュエーションにとって重要な水準であると弊社は判断しました。そして案の定、FRBが12月会合でハト派姿勢を弱めると、利回りは4.5%の閾値を超え、株式と債券利回りは負の相関関係となり、これが今も続いています。つまり、利回りは過去数年間のリターンの大きな原動力であったバリュエーション上昇の追い風ではなくなってしまったということです。現在はむしろ、企業業績がリターンの最大の原動力になっており、当面はこの状況が続くと思われます。FRBはすでにハト派色を徐々に弱めていますが、関税に関する不透明感と先日のインフレデータを受けて、この変化がさらに進む可能性があり、債券市場が織り込む年内の利下げ回数は1回に変化しています。弊社の公式見解もこれと同様で、弊社エコノミストは、現時点で6月に1度の利下げを見込んでいます。これは今後のインフレ率と成長率の動向次第です。弊社は、投資戦略も変更しています。S&P 500は12月に弊社の戦術的な目標である6100に達し、S&P 500企業のリビジョン・インデックスは反転していることから、セクターとファクターへの重視を強めています。弊社が特に選好するのは、絶対ベースと相対ベースの両方で業績予想の修正が強い分野です。半導体よりも金融、メディア・エンターテインメント、ソフトウェア、消費財よりも消費者サービスがこの考え方にフィットします。ディフェンシブ・セクターの中では生活必需品、ヘルスケア、REIT【←リート】よりも公益事業を選好します。これらはいずれもアウトパフォームしており、当面はこの見方を継続します。成長率が大幅に低下することなく10年国債利回りが持続的に4.5%を下回らない限り、高クオリティの大型株を最優先するスタンスを維持します。10年利回りの構成要素のうち、株式バリュエーションとの関係で注目すべきは、やはりターム・プレミアムであり、これは低下したとはいえ、過去数年と比べると依然高い水準にあります。そのほかに株価を左右するマクロ要因としては、ホワイトハウスが非常に積極的に発する関税政策、移民規制などと、DOGE【←ドージ】つまり政府効率化省のコスト削減策が挙げられます。関税については、株式市場に固有のイベントが今後も見込まれます。ただ、中国、メキシコ、カナダに対する関税が2026年末まで継続した場合、S&P 500企業の1株当たり利益に対する影響は5-7%程度と予想されます。これはわずかな減少とはいえず、今回発表されたガイダンスが4Q業績に比べ弱い理由のひとつと思われます。中国に対する関税が強い逆風となっている業界は一般消費財と電子機器です。移民の流入減少とストックの減少は、少なくとも上場企業にとっては、人件費の高騰よりも総需要に打撃となる可能性が高いでしょう。最後に、政府効率化省が政府支出を大幅に削減できるかについては懐疑的な見方が...
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    7 mins
  • 関税は為替にどのような影響をおよぼすのか?
    Feb 13 2025
    米国の関税政策によって為替市場のボラティリティがどの程度高まるかについて、為替および新興国市場戦略担当責任者のジェームス・ロードがお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。為替および新興国市場戦略担当責任者のジェームス・ロード. 本日の話し手は為替および新興国市場戦略担当責任者のジェームス・ロードです。米国の関税政策が為替市場におよぼし得る影響についてお話しします。 このエピソードは2月13日 にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 為替市場は現在、トランプ大統領が提案する関税政策の行方について固唾を飲みながら見守っています。わずか1週間ほど前、メキシコ、カナダ、中国に対して提案された関税措置を巡って市場の不確実性は著しく高まり、多くの投資家がそれに戸惑いました。それぞれの国との交渉の結果、米国政府はカナダおよびメキシコ製品に対する25%関税の発動を最終的に延期しましたが、中国製品に対する10%の関税引き上げについては予定通り発動しました。為替市場への影響を見ると、市場ボラティリティは交渉中にこそ高まりましたが、交渉が終わると共に低下し、差し引きの影響は小さなものにとどまりました。また、鉄鋼およびアルミ製品に対する追加関税発表の影響も小さなものにとどまりましたが、一方、多くの投資家は現在、相互関税実施の見通しに神経を尖らせています。最近の関税を巡る緊張の高まりからは、考慮すべき3つのことを投資家は学び取ることができると私たちは考えます。第一は、トランプ大統領が提案する関税には2つのタイプがあり、それらを区別する必要があるということです。1つ目のタイプは最初から交渉カードとして提案された関税で、関税引き上げの対象となる国と別の重要問題について協議し、米国が関税で譲歩する代わりに別の問題で相手側の譲歩を引き出すことを狙ったものです。2つ目のタイプはより幅広い経済戦略的な意味合いを持つ関税で、米国が関税引き上げを通して貿易赤字を縮小したり、国内主要産業を保護したりすることを狙ったものです。 一方、トランプ大統領が言及した相互関税など、場合によってはこの2つのタイプを合わせたような関税措置が提案される可能性もあるでしょう。関税政策が為替市場におよぼす影響は、関税のタイプによって大きく異なります。最終的な目的が別の問題で相手国の譲歩を引き出すことにある関税引き上げなら、相手国との交渉が成立した場合、交渉中に進んだ為替市場のボラティリティ拡大トレンドは反転するでしょう。しかし、より幅広い経済戦略の一環としての意味合いが強い関税の場合、投資家は為替市場に対する影響がより長期におよぶかどうかについて、より真剣に見定める必要があると考えます。例えば、中国からの輸入製品に課される関税は、ドル/人民元に対して長期的な影響をおよぼすと考えるべきでしょう。実際、私たちはドル/人民元相場の持続的な上昇を予想しており、2025年下期には7.6に達する可能性があると考えています。投資家が考慮すべき第2のポイントは、関税政策実施のタイミングを予想することです。この点、米国第一主義貿易政策のさらなる詳細が明かされる可能性のある今年4月1日は、為替市場にとってとても重要な日になると私たちは考えています。ドルはこの日に向かって上昇し続け、投資家はこの日以降のどの時点で関税政策実施を促す圧力が最も大きくなるか、そのタイミングを見定めるようになる可能性があるからです。投資家が考慮すべき第3のポイントは、為替市場のボラティリティが長期的に高い水準のまま推移するのか、単に偶発的に高まる一時的なものかを見定めることにあります。投資家の多くは、米国の貿易政策を巡る不確実性を理由に、為替市場のボラティリティが例年よりも高まると考えています...
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    7 mins
  • アジアにおける貿易問題のリスクの高まり
    Feb 11 2025
    米国の相互関税導入がアジア経済におよぼし得る影響について、弊社アジア担当チーフ・エコノミストのチェタン・アハヤが、そのリスクに直面している主要市場に焦点を当てながらお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日の話し手は、弊社アジア担当チーフ・エコノミストのチェタン・アハヤです。米国が相互関税をアジア諸国に課す可能性に関する自身の見解をお話しします。 このエピソードは2月11日 にシンガポールにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。トランプ大統領による最近の関税強化の動きは、2018年から2019年にかけて進められた関税強化の規模をすでに大きく上回っています。実際、今回の場合、複数の貿易相手国が同時に一律関税の対象となっており、また、関税引き上げは前回より遥かに速いペースで実施されています。こうした中、貿易問題の拡大リスクは急速に高まりましたが、最新の動きによってリスクは一段と高まった可能性があります。トランプ大統領は、外国製の鉄鋼・アルミニウム製品すべてに一律25%の関税を課す政策を推し進めようとしています。また、貿易相手国の製品にそれぞれの国が米国製品に対して課している関税率と同じ関税率を課すことを目的に、複数の国に対して相互関税を導入する可能性を示唆しました。相互関税が導入されれば、中国を除くアジア諸国は、米国の関税引き上げリスクにさらに晒されることになります。なぜなら、現時点でアジア諸国が米国製品に課している関税率は、多くの場合、米国がアジア製品に課している関税率よりやや高いからです。また、入手可能な最新データに基づくなら、アジアの6ヵ国が米国製品に課している加重平均関税率は、米国がアジア諸国それぞれの製品に課している加重平均関税率より高くなっています。米国との関税率の差が最も大きいアジアの国は、インド、タイ、韓国です。ゆえに米国が相互関税を導入した場合、この3ヵ国に対する加重平均関税率は4-6パーセントポイント引き上げられる可能性があります。製品によっては関税率がさらに大幅に引き上げられる可能性もありますが、私たちの考えを言えば、鉄鋼・アルミニウム製品に対する一律関税や相互関税実施によってこの3ヵ国の経済が手に余るほど深刻な悪影響を受けることはないでしょう。しかし、対米貿易黒字が最も大きい世界10ヵ国のうちの7ヵ国がアジアの国々であることを踏まえると、貿易摩擦がさらに拡大する可能性は残ります。こうした背景を勘案すると、アジアの為政者は、米国政権の要求を満たす取組を模索する必要に迫られるかもしれません。例えば日本の石破首相は、米国向け投資の拡大を約束し、米国からのエネルギー輸入を増やすことを検討しています。いずれも、米国の対日貿易赤字を縮小する前向きな取組と巷では捉えられています。また、インドのモディ首相は、今週行われるトランプ大統領との首脳会談に先立って米国製品に対する関税率を引き下げる措置を講じたほか、首脳会談では、石油、ガス、防衛装備、航空機の輸入を増やす提案をする可能性があります。ただし、中国に関しては、米国との二国間関係に数多くの問題が幅広く存在していることから、米国政権は様々な理由を付けて関税率を引き上げると私たちは考えています。実際、現状を見るに、中国はこれまでのところ、関税引き上げが実施された唯一の国であり、また、最近実施された中国製品に対する10%の関税引き上げ幅は、2018年から2019年までの間に実施された平均加重関税率の引き上げ幅をすでに上回っています。さらに言えば、中国製品に対する関税率は2025年を通して引き続き引き上げられる可能性があると考えます。まとめるなら、米国政権発の関税の脅威は絶え間なく続いています。それでも、関税引き上げの直接的な影響が手に余るほど深刻化...
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    6 mins

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