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  • 不透明な米国株式市場で機会を探る
    Feb 18 2025
    銘柄、ファクター、セクターの選定が引き続きポートフォリオのパフォーマンスを決定するカギであるとの見方を、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン. 今回は、金利が上昇し、業績予想が弱含む中での株式について最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。 このエピソードは2月18日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。12月上旬以降、S&P 500指数は足踏み状態が続いています。昨年夏からのほぼ遮るもののない株価上昇がストップした理由はいくつかありますが、10年国債利回りの上昇が最大の理由だと私は見ています。弊社は12月に、成長と業績が順調に推移すると想定した場合、株式マルチプルにとって最適な水準は4-4.5%であると述べました。4.5%は株式バリュエーションにとって重要な水準であると弊社は判断しました。そして案の定、FRBが12月会合でハト派姿勢を弱めると、利回りは4.5%の閾値を超え、株式と債券利回りは負の相関関係となり、これが今も続いています。つまり、利回りは過去数年間のリターンの大きな原動力であったバリュエーション上昇の追い風ではなくなってしまったということです。現在はむしろ、企業業績がリターンの最大の原動力になっており、当面はこの状況が続くと思われます。FRBはすでにハト派色を徐々に弱めていますが、関税に関する不透明感と先日のインフレデータを受けて、この変化がさらに進む可能性があり、債券市場が織り込む年内の利下げ回数は1回に変化しています。弊社の公式見解もこれと同様で、弊社エコノミストは、現時点で6月に1度の利下げを見込んでいます。これは今後のインフレ率と成長率の動向次第です。弊社は、投資戦略も変更しています。S&P 500は12月に弊社の戦術的な目標である6100に達し、S&P 500企業のリビジョン・インデックスは反転していることから、セクターとファクターへの重視を強めています。弊社が特に選好するのは、絶対ベースと相対ベースの両方で業績予想の修正が強い分野です。半導体よりも金融、メディア・エンターテインメント、ソフトウェア、消費財よりも消費者サービスがこの考え方にフィットします。ディフェンシブ・セクターの中では生活必需品、ヘルスケア、REIT【←リート】よりも公益事業を選好します。これらはいずれもアウトパフォームしており、当面はこの見方を継続します。成長率が大幅に低下することなく10年国債利回りが持続的に4.5%を下回らない限り、高クオリティの大型株を最優先するスタンスを維持します。10年利回りの構成要素のうち、株式バリュエーションとの関係で注目すべきは、やはりターム・プレミアムであり、これは低下したとはいえ、過去数年と比べると依然高い水準にあります。そのほかに株価を左右するマクロ要因としては、ホワイトハウスが非常に積極的に発する関税政策、移民規制などと、DOGE【←ドージ】つまり政府効率化省のコスト削減策が挙げられます。関税については、株式市場に固有のイベントが今後も見込まれます。ただ、中国、メキシコ、カナダに対する関税が2026年末まで継続した場合、S&P 500企業の1株当たり利益に対する影響は5-7%程度と予想されます。これはわずかな減少とはいえず、今回発表されたガイダンスが4Q業績に比べ弱い理由のひとつと思われます。中国に対する関税が強い逆風となっている業界は一般消費財と電子機器です。移民の流入減少とストックの減少は、少なくとも上場企業にとっては、人件費の高騰よりも総需要に打撃となる可能性が高いでしょう。最後に、政府効率化省が政府支出を大幅に削減できるかについては懐疑的な見方が...
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    7 mins
  • 関税は為替にどのような影響をおよぼすのか?
    Feb 13 2025
    米国の関税政策によって為替市場のボラティリティがどの程度高まるかについて、為替および新興国市場戦略担当責任者のジェームス・ロードがお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。為替および新興国市場戦略担当責任者のジェームス・ロード. 本日の話し手は為替および新興国市場戦略担当責任者のジェームス・ロードです。米国の関税政策が為替市場におよぼし得る影響についてお話しします。 このエピソードは2月13日 にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 為替市場は現在、トランプ大統領が提案する関税政策の行方について固唾を飲みながら見守っています。わずか1週間ほど前、メキシコ、カナダ、中国に対して提案された関税措置を巡って市場の不確実性は著しく高まり、多くの投資家がそれに戸惑いました。それぞれの国との交渉の結果、米国政府はカナダおよびメキシコ製品に対する25%関税の発動を最終的に延期しましたが、中国製品に対する10%の関税引き上げについては予定通り発動しました。為替市場への影響を見ると、市場ボラティリティは交渉中にこそ高まりましたが、交渉が終わると共に低下し、差し引きの影響は小さなものにとどまりました。また、鉄鋼およびアルミ製品に対する追加関税発表の影響も小さなものにとどまりましたが、一方、多くの投資家は現在、相互関税実施の見通しに神経を尖らせています。最近の関税を巡る緊張の高まりからは、考慮すべき3つのことを投資家は学び取ることができると私たちは考えます。第一は、トランプ大統領が提案する関税には2つのタイプがあり、それらを区別する必要があるということです。1つ目のタイプは最初から交渉カードとして提案された関税で、関税引き上げの対象となる国と別の重要問題について協議し、米国が関税で譲歩する代わりに別の問題で相手側の譲歩を引き出すことを狙ったものです。2つ目のタイプはより幅広い経済戦略的な意味合いを持つ関税で、米国が関税引き上げを通して貿易赤字を縮小したり、国内主要産業を保護したりすることを狙ったものです。 一方、トランプ大統領が言及した相互関税など、場合によってはこの2つのタイプを合わせたような関税措置が提案される可能性もあるでしょう。関税政策が為替市場におよぼす影響は、関税のタイプによって大きく異なります。最終的な目的が別の問題で相手国の譲歩を引き出すことにある関税引き上げなら、相手国との交渉が成立した場合、交渉中に進んだ為替市場のボラティリティ拡大トレンドは反転するでしょう。しかし、より幅広い経済戦略の一環としての意味合いが強い関税の場合、投資家は為替市場に対する影響がより長期におよぶかどうかについて、より真剣に見定める必要があると考えます。例えば、中国からの輸入製品に課される関税は、ドル/人民元に対して長期的な影響をおよぼすと考えるべきでしょう。実際、私たちはドル/人民元相場の持続的な上昇を予想しており、2025年下期には7.6に達する可能性があると考えています。投資家が考慮すべき第2のポイントは、関税政策実施のタイミングを予想することです。この点、米国第一主義貿易政策のさらなる詳細が明かされる可能性のある今年4月1日は、為替市場にとってとても重要な日になると私たちは考えています。ドルはこの日に向かって上昇し続け、投資家はこの日以降のどの時点で関税政策実施を促す圧力が最も大きくなるか、そのタイミングを見定めるようになる可能性があるからです。投資家が考慮すべき第3のポイントは、為替市場のボラティリティが長期的に高い水準のまま推移するのか、単に偶発的に高まる一時的なものかを見定めることにあります。投資家の多くは、米国の貿易政策を巡る不確実性を理由に、為替市場のボラティリティが例年よりも高まると考えています...
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    7 mins
  • アジアにおける貿易問題のリスクの高まり
    Feb 11 2025
    米国の相互関税導入がアジア経済におよぼし得る影響について、弊社アジア担当チーフ・エコノミストのチェタン・アハヤが、そのリスクに直面している主要市場に焦点を当てながらお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日の話し手は、弊社アジア担当チーフ・エコノミストのチェタン・アハヤです。米国が相互関税をアジア諸国に課す可能性に関する自身の見解をお話しします。 このエピソードは2月11日 にシンガポールにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。トランプ大統領による最近の関税強化の動きは、2018年から2019年にかけて進められた関税強化の規模をすでに大きく上回っています。実際、今回の場合、複数の貿易相手国が同時に一律関税の対象となっており、また、関税引き上げは前回より遥かに速いペースで実施されています。こうした中、貿易問題の拡大リスクは急速に高まりましたが、最新の動きによってリスクは一段と高まった可能性があります。トランプ大統領は、外国製の鉄鋼・アルミニウム製品すべてに一律25%の関税を課す政策を推し進めようとしています。また、貿易相手国の製品にそれぞれの国が米国製品に対して課している関税率と同じ関税率を課すことを目的に、複数の国に対して相互関税を導入する可能性を示唆しました。相互関税が導入されれば、中国を除くアジア諸国は、米国の関税引き上げリスクにさらに晒されることになります。なぜなら、現時点でアジア諸国が米国製品に課している関税率は、多くの場合、米国がアジア製品に課している関税率よりやや高いからです。また、入手可能な最新データに基づくなら、アジアの6ヵ国が米国製品に課している加重平均関税率は、米国がアジア諸国それぞれの製品に課している加重平均関税率より高くなっています。米国との関税率の差が最も大きいアジアの国は、インド、タイ、韓国です。ゆえに米国が相互関税を導入した場合、この3ヵ国に対する加重平均関税率は4-6パーセントポイント引き上げられる可能性があります。製品によっては関税率がさらに大幅に引き上げられる可能性もありますが、私たちの考えを言えば、鉄鋼・アルミニウム製品に対する一律関税や相互関税実施によってこの3ヵ国の経済が手に余るほど深刻な悪影響を受けることはないでしょう。しかし、対米貿易黒字が最も大きい世界10ヵ国のうちの7ヵ国がアジアの国々であることを踏まえると、貿易摩擦がさらに拡大する可能性は残ります。こうした背景を勘案すると、アジアの為政者は、米国政権の要求を満たす取組を模索する必要に迫られるかもしれません。例えば日本の石破首相は、米国向け投資の拡大を約束し、米国からのエネルギー輸入を増やすことを検討しています。いずれも、米国の対日貿易赤字を縮小する前向きな取組と巷では捉えられています。また、インドのモディ首相は、今週行われるトランプ大統領との首脳会談に先立って米国製品に対する関税率を引き下げる措置を講じたほか、首脳会談では、石油、ガス、防衛装備、航空機の輸入を増やす提案をする可能性があります。ただし、中国に関しては、米国との二国間関係に数多くの問題が幅広く存在していることから、米国政権は様々な理由を付けて関税率を引き上げると私たちは考えています。実際、現状を見るに、中国はこれまでのところ、関税引き上げが実施された唯一の国であり、また、最近実施された中国製品に対する10%の関税引き上げ幅は、2018年から2019年までの間に実施された平均加重関税率の引き上げ幅をすでに上回っています。さらに言えば、中国製品に対する関税率は2025年を通して引き続き引き上げられる可能性があると考えます。まとめるなら、米国政権発の関税の脅威は絶え間なく続いています。それでも、関税引き上げの直接的な影響が手に余るほど深刻化...
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    6 mins
  • 乱気流を切り抜けた中国航空業界
    Feb 6 2025
    中国でデフレ脱却に先んじて航空旅客数が回復しているのはなぜなのかについて、弊社香港・中国運輸&インフラ担当アナリストの チエンレイ・ファンがご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。香港・中国運輸&インフラ担当アナリストの チエンレイ・ファン. 今回は香港・中国運輸&インフラ担当アナリストの チエンレイ・ファンが、中国の航空業界が10年に一度の転換点を迎えている、その要因について掘り下げます。 このエピソードは2月6日 に香港にて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。アジアでは先日、何億人もの人々が家族で集まり旧正月を祝いました。私もその一人で、故郷の南京に飛行機で帰りました。空港は何日間も混雑していました。飛行機で移動する人は延べ9000万人を超えたとみられています。この状況は、7年間不振にあえいだ中国航空業界が復活しつつあることを示唆しています。実際、弊社では、中国のデフレ圧力から今年最初に抜け出す業界のひとつが航空業界だと考えています。そして、この復活は広く中国経済に影響をもたらします。世界の航空業界は新型コロナウイルス感染症(COVID)によって大打撃を受けましたが、ほかの地域はその後(←そのご)回復しました。中国では、業績の回復が今まさに始まるところです。航空各社は2018年以降、貿易関係の緊張、人民元の下落、COVID-19、そしてコロナ後のマクロ経済の逆風 により、需要の減少に見舞われてきました。しかし、中国の国境の制限が解かれてから2年たち、飛行機を利用する旅行者が大挙して戻ってきています。輸送能力の供給過剰は解消されました。航空機の引き渡しの遅れが供給力を抑制し続けており、航空各社が新しい機材を入手して提供座席数を増やすことはこれまでよりも難しくなっています。搭乗率は今年、上昇を続けるでしょう。つまり各社はフル稼働に近い状況になります。そのため今後6-12ヵ月間のうちに価格決定力が高まり、利益を押し上げることになるでしょう。こうした状況をグローバルな文脈に当てはめてみましょう。中国の航空業界による2024年の旅客数は約7億人で、全世界合計の8%を占めました。しかし、この7億という旅客数は中国の人口の半分にすぎません。米国では、航空旅客数が人口の3倍に達することもあるのです。中国の航空会社はここ1年間で損益分岐点に達したばかりです。世界のほかの航空会社はすでに高い利益を上げています。中国の航空会社の業績とバリュエーションは、絶対的に見ても相対的に見ても出遅れています。しかし、ここにきて転換の兆しが視界に入ってきました。中国の航空会社の目の前には、外国の航空会社よりも高い利益成長と株価パフォーマンスに向かう長い「滑走路」が伸びているのです。 それに加えて、米国の航空会社が2024年8月に成し遂げた転換からは、中国にとっても重要なポイントをいくつか読み取ることができます。米国の航空会社の株価はコロナの後、長い間アンダーパフォームし続けましたが、昨年回復しました。回復までにはかなり時間がかかったわけですが、ひとたび転換点に達すると急速に上昇し、業績回復よりも先にバリュエーションが上昇しました。また直近の上昇局面では、大型の航空株が中小型の航空株をアウトパフォームしています。こうした流れは中国の航空株にとっても重要な意味を持っていると弊社は考えています。業績面では、中国の3大航空会社は2024年に損益分岐点に到達しました。2025年には小幅な黒字を計上し、2026年にはその黒字が倍増すると予想されます。しかし、そこがピークではありません。おそらく2027年か2028年に訪れるピーク時には、黒字が2026年のさらに倍になっている可能性があります。これこそ、中国の航空会社の株価が今後2倍になると弊社が考える理由にほかなりません。 話をまとめましょう。中国の航空会社...
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    7 mins
  • トランプ2.0と関税に関する最新見解
    Feb 5 2025

    北米貿易政策の転換が経済におよぼし得る影響について、債券・公共政策戦略担当グローバル責任者のマイケル・ゼザスがお話しします。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日の話し手は、モルガン・スタンレーの債券・公共政策担当グローバル責任者マイケル・ゼザスです。米国の関税政策と北米貿易政策の転換が経済におよぼし得る影響についてその最新見解をお話しします。

    このエピソードは2月5日 にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    25%関税が発動される間際の3日月曜、一連の電話会談の結果、トランプ大統領はメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領とカナダのジャスティン・トルドー大統領それぞれと発動延期の合意に達しました。両国の大統領が米国への不法移民と合成麻薬の流入防止対策を強化する意向を示したとし、先に発表したメキシコとカナダ製品に対する25%関税の発動を1ヵ月延期するとトランプ大統領が発表したのです。一方、中国製品に対する10%の追加関税については4日朝から予定通り発動されました。これに対し、中国政府は即座に報復関税措置を発表しましたが、これは10日月曜まで発動されないとの見方から、交渉の余地はまだ残されています。

    こうした進展は、私たちにとってサプライズではありませんでした。メキシコとカナダが国境対策強化で米国に譲歩することで25%関税を回避するといったシナリオを私たちは想定していましたし、実際、その通りになったからです。また、中国製品に対する関税政策が、メキシコおよびカナダ製品に対する関税政策とは関係なく策定されるとも予想していました。本来的な目標が中国との貿易関係を一変させることであるならば、米国はメキシコおよびカナダとの貿易関係を維持したいと考える筈だからです。

    以上からすると、私たちが基本ケースとして想定する「迅速に発表し、緩やかに実施する」米国の政策アプローチに変わりはないように見えます。いずれにしろ、中国製品および欧州の一部製品に対する関税は年末までに引き上げられ、これが2026年の米国経済成長率を押し下げると私たちは予想しています。

    メキシコとカナダ製品に対する25%関税が回避、もしくは発動がさらに延期されても、私たちの米国経済見通しに大筋で変化はありません。その場合、(3:11)関税リスクの減衰でドル相場は軟化し、米国株では一般消費財株とより幅広いシクリカル株が市場をリードする可能性があります。

    しかし、私たちが先行きを見誤り、1ヵ月の延期措置終了後にメキシコとカナダ製品に対する25%関税が発動された場合、米国のインフレ率は幾らか上昇し、経済成長率は減速するでしょう。そしてこうした中、ドルおよび米国債が株式をアウトパフォームする局面が、少なくとも米国が世界貿易関係を構築し直すまでの間は続くと考えます。

    これから数ヵ月にわたり、日々のニュースの見出しは米国の関税政策絡みのものばかりとなるでしょう。私たちの方でもこの話題を追い続け、私たちの最新見解を皆様に引き続きお届けする所存です。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

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    5 mins
  • 関税とテクノロジーが株価の逆風に
    Feb 3 2025
    弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、2025年上期を通じて持続すると見込まれる要因によって米国株が痛手を受けた理由をご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、関税と最近のAIを巡る展開および、それらが株式にとって何を意味するかについてお話します。このエピソードは2月3日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。2024年は多くの銘柄にとって堅調な1年でしたが、総じて好調だったのは下期でした。リセッションに対する懸念が昨年夏にピークを迎え、インフレの高止まりを背景にFRBが政策金利を据え置いたため、基本的に年初から8月上旬までの株式市場は横這いで推移していました。しかし、その後すべてが変わりました。FRBは市場の意表を突く50ベーシスポイントの利下げに踏み切り、リセッション回避に対する取り組み姿勢を示しました。これに続いて労働指標が改善し、FRBは25ベーシスポイントの利下げを2度行ないました。投資家はこれをポートフォリオの株式ポジション拡大のゴーサインと受け止めました。リスクが大きいほど良いと考えたのです。また、市場や多くの向きにとって、トランプ氏が大統領選挙で勝利する見込みで、議会における共和党圧勝の確率も高まっていることが明白になりました。トランプ候補が提示した経済成長を促進する政策と、大統領1期目における実績を踏まえ、投資家は一段と強気になりました。いずれの政党も絶対多数を獲得しない結果への懸念を踏まえると、このように投票日の夜に選挙結果が確定したことが、投資家の強気姿勢に拍車をかけました。アセットマネージャーと個人投資家の両方がパフォーマンスを追求し、出遅れたり、取り逃がしたりすることを恐れて、迅速にヘッジを解除し、ロングポジションに反転させることすらありました。10月に筆者はS&P 500は、明確な選挙結果になれば、6,100ポイントまで上昇する公算が大きいと示唆しました。株価は早くも12月上旬にこの水準に達した後、市場の広がりが悪化する中、極めて低調な水準で年を越しました。S&P 500の年初の出足は軟調で、大統領就任式に向けて大幅に上昇し、再び6,100ポイント台を試しました。前回との違いは、市場の広がりがはるかに小さく、クオリティの高い銘柄が市場をリードし始めていたことです。関税は常に議題に上っており、移民法の執行も同様でした。いずれも短期的に経済成長に悪影響を与えます。筆者が見たところ、投資家はこうしたリスクに対して油断しており、今になってリアルタイムで対応しています。これは、今年の前半は株式にとってより厳しい公算が大きいと見る弊社見解にも適合します。すなわち、株式に悪影響を及ぼす政策が直ちに実施され、規制緩和、減税の延長および政府支出の削減といった株式に好影響を与える政策の効果が、クラウドアウトの減少や、金利低下といった形で現れるには時間がかかだろうという見解です。株価指数については、向こう3ヵ月から6ヵ月のS&P 500は、5,500から6,100ポイントのレンジで取引されると予想しています。第4四半期の弊社の目標株価は6,500ポイントで変わりありません。関税が課されると予想していたため、実現しても、弊社の消費財に対する消費者サービスの選好が強まっただけです。関税の施行は、金融や、その他為替影響や貿易に対するエクスポージャーが少ない国内中心の銘柄に対する弊社の選好もサポートしています。政治的不透明感の高まりに加えて、先週はDeepSeekによる最新のAIチャットボットの提供も開始されました。これにより、投資家にとっては、銘柄と株価指数の両方に持続的な影響を与え得る新たなレベルの不確定要因が加わりました。AI技術の採用によって本当に...
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    6 mins
  • 市場の楽観姿勢はピークをつけたのか?
    Jan 24 2025
    弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツは、投資家の期待は高まったままですが、企業信頼感はそうではないと主張しています。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ.本日のエピソードはコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、市場のオプティミズムとその指標、市場は過度に楽観的になっているのか、そして今後はどうなるのかについてお話します。 このエピソードは1月24日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 クレジット投資を含む投資の基本的な考え方は、過度に楽観的になっていないか注意することです。本質的に、市場のサイクルでは、人々がこの先は良いことしか起こらないと最も強く確信している時に最高値をつけます。最安値、すなわち投資家が買う意欲を失なった状態は、投資家が全ての希望を捨てた時に起こります。しかし、リアルタイムで楽観のピークを特定することは困難です。というのは、一般的に合意が成立した定義がないためです。しかも、時には、物事が単に順調な場合もあるのです。これまでの10年以上、投資家は米国のテクノロジー業界に夢中になっていました。その間、テクノロジー業界は、並外れた利益成長をなんとか実現して来ました。そしてそのリターンも桁外れなものでした。それでも、この論点は妥当であると感じます。過去2年間に米国株式市場は50%を超える上昇を遂げています。株式のバリュエーションは、株式と債券のいずれとの比較でも過去に比べて高い水準にあります。クレジットのリスク・プレミアムは、過去20年間の最低に近い水準です。投機的な投資家の動きが増えています。ということは、ついに楽観はピークをつけ、これ以上は上昇しないところまで来たのでしょうか?かれ悪しかれ弊社の答えは「ノー」です。投資家の楽観度は高水準にあると考えますが、企業の楽観姿勢はそうではありません。この議論では企業は、極めて重要です。企業は、米国や他の企業に投資するための豊富な資金源を享受しています。企業信頼感は上向くと弊社は考えていますが、それには時間がかかります。 企業の信頼感について弊社がもっとも選好する指標は、M&A活動です。他の企業を買うことは経営陣ができる最もリスクが大きい行為の1つであり、基調にある企業信頼感の優れた代替指標となります。この種の活動の件数は去年 昨年おおよそ 約25%増加しましたが、まだ過去平均を優に下回っています。また、大規模な市場サイクルが、こうした活動がトレンドを超える前に終了するとしたら、極めて異例のことになります。 もう1つの指標は、新規借入れに伴うリスクの度合いです。新たな債務を負うことも、企業信頼感の指標となります。一般的に新たな借入れは、将来や負債の返済能力に対して肯定的な気持ちを抱いている時に行われるからです。しかし、実際は過去3年間、米国市場の低格付け債の発行額が減少する一方、最もリスクが大きいグレードの企業の起債額も、2017年から2022年までの平均を大幅に下回っています。やはり、このような状況も企業が過度に楽観的であると考えられるトレンドではありません。 米国の新政権の関税や政策を巡る不透明感が、依然として企業信頼感を押しとどめる可能性があります。企業信頼感は出発点が低水準だった上、弊社が予想する規制緩和の追風が加わって、企業活動と企業の積極性には上昇の余地があると考えます。そして、これが2025年一杯続くと弊社は見ています。そうした上昇は通常は、いずれリスクの上昇につながります。しかし現時点では、企業の積極性の強まりによるネガティブな結果に合わせた体勢をとるのはまだ早いと考えています。 最後までお聴...
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    6 mins
  • 大統領令の経済に対する潜在的な影響
    Jan 22 2025
    トランプ大統領は就任初日から大量の大統領令に署名し、選挙公約を実現する意思を示しました。トランプ大統領が実現しようとする政策が経済におよぼし得る影響について、債券・米国公共政策戦略担当グローバル責任者のマイケル・ゼザスが詳しく掘り下げます。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。債券・米国公共政策戦略担当グローバル責任者のマイケル・ゼザス. 本日の話し手は、債券・米国公共政策戦略担当グローバル責任者のマイケル・ゼザスです。貿易政策を巡る不確実性が市場のボラティリティを高めている見方に関する自身の見解をお話しします。 このエピソードは1月22日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 今週月曜、米国大統領にドナルド・トランプ氏が再就任しました。それから数日、私たちの下には、大量に署名された大統領令や報道陣の質問に対する氏の答が示唆する経済や市場への影響を知ろうと考える、言い換えるなら、関税、税制、その他政策が変わるとすれば、いつ、どのように変わるかに関するシグナルをノイズの中から見極めようとする投資家からの質問が殺到しました。投資家のこうした動きは理解できるものです。この番組でも何度かお話しした通り、米国の公共政策動向は、世界経済および市場の見通しに大きな影響をおよぼすからです。米国の公共政策の道筋に関する私たちの見通しについては、本番組でもいくらか時間を割いて説明してきましたが、例え、貿易、税制、移民、その他政策が変わるタイミングとそれらの影響の度合を正確に予測できたとしても、市場はそれらに合わせて予測通りには動かないという見方を皆様には理解して頂きたいと思います。なぜなら、トランプ大統領とその政権閣僚たちは、自分たちの政策戦術について確たる裏付けもなく、憶測に基づいて公に語ることが多いからです。その発言からは尤もらしい結果を幅広く想定でき、結果として投資家の間で先行きの見通しを巡る混乱が広がっています。例えば関税政策。大統領は月曜日にアメリカ・ファーストの貿易方針を発表し、財の貿易赤字縮小と、貿易に関連した経済および国家安全保障懸念の排除を促す政策ソリューションを政府全体で立案するよう指示しました。また、こうした貿易方針を促す有効な手段として関税を挙げ、関係当局に国/地域および製品別に関税案を策定するよう指示しました。平たく言えば、関税の即時引き上げはしないものの、大統領は自分の望む時期や方法で任意に関税を引き上げる選択性を最大化しようとしているように見えます。こうした動きは、メキシコ、カナダ、中国への追加関税に関する報道陣からの質問に対する大統領の発言を含め、例え最終的に実現にしなかったとしても、関税引き上げやそのタイミングに関するあらゆる公的発言を真剣に受け止める必要に市場が迫られていることを意味します。例えば、現時点で私たちはメキシコとカナダへの追加関税は実現しないと考えていますが、それも予断を許さない見方であることに変わりはありません。そのように選択性が最大化されれば、市場の短期的な動きからは多様な結果を幅広く想定することができるようになります。例えば米国債市場。弊社エコノミスト・チームは、関税引き上げとその他いくつかの要因によって2026年の経済成長ペースは鈍化すると予想しており、私たちはこの予想に基づき、米国債利回りは同年末に向けて低下すると考えています。ただし、それまでの動きを見ると、利回りは最初のうちは確実に上昇するでしょう。同僚のマット・ホーンバッハが指摘するように、関税引き上げの脅威は、一時的なインフレによるFRBの利下げペース鈍化を市場が織り込む可能性を高め、これを懸念した投資家の動きにより、短期債の利回りは押し上げられると考えるからです。結論...
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    6 mins